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こにし歯科医院のブログ

2022/12/28フッ素塗布 ⑩

フッ化物洗口 ⑥

わが国におけるフッ化物洗口法のむし歯予防効果

 わが国におけるフッ化物洗口法の臨床的予防効果を扱った研究は多数あります。基本的にはほとんどがいわゆるスクールベース(学校等で集団で行う洗口)での研究ということになるのですが、洗口終了後、数年を経た20歳における評価や、多数の地域群での比較、自衛隊隊員を対象とした成人での研究などと多彩です。しかし、齲蝕予防効果は30.5%~79.0%と比較的高く、いずれも統計的に有意でした。なかでも、洗口開始年齢が4歳と低く、洗口期間が長いときに高い齲蝕予防効果効果が得られることは明らかでした。そのほとんどの結果は20歳での評価を含めて50%以上の予防率を示し、洗口終了後、数年を経た20歳における評価においても期待以上の効果が得られたことは、この方法が、洗口を実施している学童にとってのみではなく、将来にわたる実施地域住民の歯科保健の向上に重要な役割を演じていることが示されているといえるでしょう。

 周知のようにわが国は現在に至っても水道水フロリデーションや食塩のフロリデーション(食塩のフッ化物調整)などポピュレーション・ストラテジー(地域住民を単位としたむし歯予防に関する歯科公衆衛生分野)では国際的に大きく遅れをとっています。一方、フッ化物洗口法はとくに小児期の永久歯むし歯予防方法として、その高い安全性と確実な予防効果、簡便で高い経済効果が保証され、わが国でもすでに地域保健の中で40年になんなんとする実績があるのです。とくに保育園、幼稚園、小中学校などの施設での集団応用に向いているという優れた公衆衛生特性をもつものとして、もっと活用されてよいでしょう。