こにし歯科医院のブログ
2022/11/02フッ素塗布 ⑥
フッ化物洗口 ②
就学前児童のフッ化物洗口法についてのWHO見解
WHO(世界保健機関)は1994年、テクニカルレポート(Series No. 846、Fluorides and Oral Health)において、6歳未満の就学前児童のフッ化物洗口法は推奨されないとの見解を示しました。標準的な洗口法ではフッ化物の口腔内残留量は少量であり、歯のフッ素症の原因にはならないが、他の経路から摂取されるフッ化物の総量によっては歯のフッ素症を増加させるかも知れない、との危惧から推奨できないとしたのです。
上記WHOの見解の背景となった研究では、就学前児童は洗口液の全量を飲み込んでしまうことを考慮しなければならない。5歳児を想定した時、洗口液の全量を毎回飲み込むと仮定すると歯のフッ素症を誘発させる可能性があり、とくに他のフッ化物の複合応用があった場合には許容できない、としたのです。
この報告によると、洗口液全量を飲み込む児童は3歳児で多く6.9%、4、5歳児ではそれぞれ2.8%と1.8%でしたが、以下、述べるようにように、わが国では3歳児の洗口は推奨していないし、また、4、5歳児でも洗口可能な児童のみに限って洗口をしています。この報告では洗口液全量を毎回飲み込むと仮定した時の歯のフッ素症の誘発可能性について論じたもので、この仮定そのものが非現実的であるばかりでなく、少なくともわが国の実状からはかけ離れた論議とみるべきでしょう。
また、とくに他のフッ化物の複合応用があった場合には許容できない、としている点も注意を要するところです。この場合、他のフッ化物というのは日本以外の多くの国では水道水フロリデーション(後段で解説します)が行われており、子どもへのフッ化物錠剤や他のフッ化物サップリメントの処方があることをいうのです。しかし、こうした全身応用はいずれも現在のわが国では存在しないことを知らなければなりません。
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